さまざまな江戸のあかり

(写真と解説 山本均)

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火皿 ひざら

菜種油を燃料とする器具です。火の調節は灯心の本数でします。明るくしたいときは灯心の数を増やします。灯心の本数が増えると明るくなりますが油の消費量も増えます。灯心を多くすることは来客にもてなしの心を伝える意味を現しているのです。

手燭 てしょく

移動用の器具です。ロウソクを立てる釘と火皿を載せる円形の環で構成されています。来客を案内するときは高価なロウソクを使います。普段は環の上に火皿を載せて明かりをとりました。このときは移動させず置いて使います。

燭台 しょくだい

灯台とも言います。ロウソクと火皿の両方が使えるものです。古くは火皿のみの構造でした。ロウソクの芯が燃えて炎が不安定になると付属のはさみで芯を切りました。ロウソクは時間がたつと芯が残りススや不安定な炎の原因になるので、寄席では後半に演ずる師匠クラスがロウソクの芯を切って炎を整えました。

落語の世界では芯を打つ人を「しんうち」と呼ぶようになったのです。昔は物を切ることを打つといいました。また、「灯台の真下は明かりが届かないので「灯台元暗し」ということわざができました。少し距離を置くと物事がよく見えるという意味です。

たんころ

火皿よりも安定した器具で、そのつど必要な場所に置くことができました。台つきの皿中央に灯心が出るよう工夫されています。ランプの構造によく似ています。

行灯 あんどん

灯火を囲うようにした器具でロウソクと火皿の両方が使えます。引き出しがあり、ロウソクや火打ち道具などが収められます。風の影響を受けにくく安定した明かりを得ることができます。夜間の寝室など、足元の安全のため火皿の灯心を一本にするとわずかな油で明け方まで使用できました。

がんどう

夜間作業をするため江戸時代に発明されました。前方を照らし、どの角度に傾けてもロウソクが直立する便利な構造です。持ち手の顔が見えずに相手を照らすことができるので強盗が使うのに都合がよいことから「強盗提灯」とも書きます。読み方は「がんどう」です。

火打ち石

メノウという硬い石を火打ち鉄(かね)に打ちつけると火花が飛びます。この火花を蒲の穂からとった粉末に落とし火種を得るのです。火の移りをよくするため、木炭の粉を混ぜるなどの工夫をしていました。焦げた粉末に息を吹きかけ付け木という薄く削った木を燃やし灯心などに火を移しました。

火打ち鉄に刻まれた「吉田本家」の刻印は刀鍛治の奥さんが内職で作ったと伝えられ、よく火花が飛ぶと評判でした。

ロウソク

日本のロウソクと西洋ロウソクには大きな違いがあります。日本はハゼの実からとったロウを使います。洋ロウソクは石油が原料のパラフィンでできています。日本のロウソクを和ロウソク、西洋のロウソクを洋ロウソクといいます。

和ロウソクの芯は筒状の和紙に、い草の灯芯をまきつけて作られています。ロウソクの元から先まで中空のため優れた燃焼効果を発揮します。芯の太さもロウソクの大きさに比例して太くできています。

洋ロウソクの芯は木綿糸でできていて大きなロウソクも小さなロウソクも芯の太さにあまり変わりがありません。したがって和ロウソクは大きくなればなるほど明るくなる特徴があります。和ロウソクで一番大きな100匁ロウソクは世界で一番明るいロウソクなのです。イギリスの物理学者ファラデーは幕末に手に入れた和ロウソクの独創的な構造を紹介しています。

提灯

月が出ない闇夜はまったく明かりがなく安心して歩くことができませんでした。  夜間は足元を照らす提灯が必要でした。これは折りたたむと懐に入る小型の提灯です。用心のため外出時は懐に入れていました。豊かな商人や武士は提灯持ちに足元を照らしてもらいながら夜道を歩いたのです。

提灯をぶら下げる竿は真ちゅう製で三つに折りたためる構造になっています。

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